葬行事所から眺める運源寺の大カエデ(樹齢約350年)
近隣のお西のお寺、運源寺さんの住職がご往生され、ここ数日間、葬儀に関わるお手伝いの役「葬行事」に携わっていました。悲しみに暮れる間もなくご家族をはじめ、ご親戚、ご門徒の皆さんは矢継ぎ早に準備をしなければならないことがあり、その中で一役を仰せつかりました。近隣のお寺さん方と一緒に法要の準備をしていく中で、死を悼み、人生を閉めくくる節目の儀式は、大変だけれども、いろいろな方のお世話とお手伝いがあればあるだけ意義深いものになるのではないかと思いました。何から何までお金で済ませるのではなく、ひとつひとつの準備に携わることで、亡き方との別れの意味を多くの方と分かち合えるのではないでしょうか。
砺波市福岡の嚴照寺さんで今日、鐘楼堂の新築落慶法要と親鸞聖人750回大遠忌法要が勤修され、お参りに行ってきました。午後から行われた庭儀(ていぎ)では、稚児行列があり、賑々しい雰囲気のなか滅多に遇えないご縁に感謝。10月の善興寺での大遠忌法要の前に数ヶ寺で勤修されますので、いろいろと参考にさせてける部分もあり、有意義な時間でした。
法要の最後に千秋楽という雅楽の演奏があるのですが、その音色を聞いていると、この法要に携わられたすべての人々のご苦労や慶びを感じさせていただきました。お疲れさま、そしておめでとうございます。
夜、10/15のイベント「真宗落語」の準備会「イベント部会」の集まりがあり、チラシ、チケット、ポスターなどの原案が発表されました。デザイン担当の方の多大な努力ですばらしいものになりました。内容などは近日お知らせしますが、みんなで準備していくことの大切さを食事をともにしながら噛み締めました。力を合わせて成功させましょう。
講義でお話する尾角光美さん
先日、真宗大谷派の第33回北陸連区差別問題研修会に参加しました。テーマは「世をいとうしるし」-自死(自殺)の問題を通じて学びあうーでした。
4月から毎日新聞で「変える—社会起業的生き方」という連載記事があり、そのなかで尾角光美さんが紹介されていました。尾角さんは、若き社会起業家たちの登竜門のビジネスプランコンペ「edge」の最終選考会で優秀賞に選ばれた方です。お母さんが自らいのちを絶った苦悩のなかから、肉親らを失った人たちを寺院や葬儀社と協力して支える「グリーフ(悲嘆)サポート」という新事業に乗り出したのです。「Live on」(リヴオン)という団体を立ち上げ、グリーフケアをビジネスとして形作ろうとしています。ビジネスというと、「儲け」を追求するものというイメージが強く、まだまだその目的は分かりにくいかもしれませんが、社会の苦悩や問題を解決することこそがビジネスであるという思想が社会起業家を生んでいるのです。
社会起業家とは、利益だけを求めるのではなく、社会で本当に必要とされる仕事、福祉、教育、地域など、国や行政が対応できない社会的課題を解決する為に従来にない手法で経営する人のことをいい、1980年代、アメリカ人のビル・ドレイトンさんが社会起業家を発掘、サポートする財団「アショカ財団」を設立、世界中に2000人以上の社会起業家が門下生として活躍しています。これまでの経済至上主義から、人々がともに幸せになれる仕事を求めている人々が急速に増えているのです。
尾角さんは、自死・自殺の問題を正面から受け止め、自殺遺児の立場から遺族へのケアを模索している社会起業家といえるでしょう。
西本願寺では、全寺院に自死・自殺のアンケート調査を行い、宗派としてこの問題に取り組む試みが始まっています。尾角さんも協力し、近親者をなくした人らを精神的に支援する京都自死・自殺相談センターの設立を準備しています。新聞記事で読んだいくつかの記事に導かれ、そして大谷派の友人に誘われ、この研修会に参加しました。残念ながら所用ですべてを聞くことはできなかったのですが、「ここにいらっしゃる皆さんとつながることが私の活動の目的」という言葉が尾角さんを表していると感じました。20代、30代の自殺率が過去最高となった今、目を背けてはいけない現実なのだと教えていただきました。
住職のお友達、井波で代々彫刻を続けておられる三代目の南部白雲さんが、このたび宮崎県の都城市にある本願寺派の摂護寺さん(ご住職が住職と同級生、副住職夫妻が若院と同級生という関係)に山門の扉を納入されたことを報告しにいらっしゃいました。さる5月1日〜2日に修行された親鸞聖人750回大遠忌法要を記念して行われた事業のようです。のべ、5〜6年の歳月をかけて制作された扉をはじめ、塀の彫刻は目を見張る大作です。富山から10人程の職人さんたちと一緒に現地へ車で行き、納められたということでした。
興味深いお話をされていたのは、彫刻業界も今はとても保守的になっていて、新しいことを発見し、実行するということがなかなかできにくい状態にあるそうです。南部さんは発想が豊かで、新しいことにどんどん挑戦しておられる方なので、「職人は細く長く、きちんとした仕事をしていれば必ず誰かが見てくれているものだ」という先代からのお言葉を信念にこれまで活躍してこられました。南部さん工房のサイトがリンクページに追加されました。ご覧下さい。
快晴の週末でした。農家の方は田植えで大忙し。おつかれさまです。善興寺ではただいま境内に藤の華が満開でその薫りが漂い、多くのハチや虫たちが大集合して蜜を収穫しています。近所で蜂蜜を集めていらっしゃる方のお話によると、蜂蜜を私たちがいただく代わりに、大量の砂糖水をハチたちにあげないと彼らは生きていけないのだそうです。彼らが一生懸命に集めてきた食料をいわば「横取り」して私たちは蜂蜜をいただいていることを実感しました。ここの藤のミツもどこかの巣の大切な食料として食べられているのですね。
今年も見事に咲いた藤の花
クマバチが2匹蜜を集めています