五木寛之さん講演会
氷見の市民会館で今晩、作家の五木寛之さんの講演会が開かれました。主催は親せき寺院の光照寺さんで、お便りをいただいた時は本当に驚きました。演題は、「親鸞聖人の情(こころ)」。約800人の方が聴講に集まられたとのこと。最初に最近、金融証券関係、社会福祉関係、医療関係のこれまでご縁のなかった分野の方から講演依頼が多いというお話をきっかけに、今の日本社会の異常な状態をお話しになられました。社会全体が、見えない戦争を行っている戦時下であるという表現がこころに響きました。また、自殺者の問題にも触れられる中、12年続いたベトナム戦争でのアメリカ兵死者が6万5千人という数を引き合いに出され、2年でその数を上回る自殺者がいるということは、生きるよろこびを見いだしにくい社会に私たちは今生きているという認識をしっかり持つことの大切さを語られました。
今、なぜ私にとって親鸞聖人なのか。その問いに、自らの戦争体験をもって語られ、他の命を蹴落としても自分が生き残ってきたという罪悪感が五木さんの親鸞聖人との出会いの原点であり、その罪業の意識をそのまま引き受けながら生きていいのだという道を教えてくださったのが親鸞聖人なのだとお話しされました。今の時代は、親鸞聖人が生きられた時代と似ているところがあるので、蓮如上人の御文章とか、親鸞聖人の和讃を机の上で読んで批評するのではなく、声を出して読みそれを耳で聞くことの情(こころ)の世界を大事にしたいとしめされました。
まだまだ鋭い視点ではっとさせられたことが多くありましたが、今夜、五木さんのお話をお聞きできたことが大きな慶びでした。
明日は午後から帰真慶讃法要です。