Posts tagged: ハンセン病

ハンセン病訴訟勝訴10周年記念シンポジウム

By , 2011年9月2日 11:59 pm

パネルディスカッション

富山市民プラザにて、ハンセン病問題ふるさとネットワーク富山が主催のハンセン病訴訟勝訴10周年記念シンポジウムが開催され、出席してきました。今年は、ハンセン病違憲国家賠償訴訟の熊本地裁判決(2001年5月11日)での国の違憲判決が出されてからちょうど10年を迎えました。1907年から96年間にもわたって、ハンセン病を患った皆さんを苦しめ続けた国の強制隔離政策が、憲法に違反するものであったと国の過ちを認め、国は控訴断念した日本の司法史においても異例の判決でした。

ゲストはこの訴訟の原告団のお一人、沖縄の愛楽園から金城幸子さん。そして弁護団の代表のお一人、大分の徳田靖之さんでした。それぞれが、この国家賠償訴訟の経緯や体験談などをおはなしされ、あの判決の意味や残された課題などをお聞きしました。金城さんは、これからは、ハンセン病問題に特化した理解ではなく、他の人権問題とのつながりをもつネットワークの必要性を強調しておられました。そして、若い世代に語り継いでいくことの大切さを熱っぽく沖縄弁で語られました。

徳田弁護士は、あの判決で負けていたら、自らいのちを断とうと決めておられた回復者のエピソードを紹介され、原告のみなさんにとっては、それほど重い意味をもつ裁判であったことを受け止めきれていただろうかと自問してたことを紹介しておられました。そして司法が果たして来た責任を問い続けていく必要性を課題としてあげられ、勝訴判決という事実だけでは解決できない多くの問題があることを再認識しました。お話は、これからおこるであろう空前の原発事故に関する訴訟に、このハンセン病訴訟の判決が関係してくるのではないかとのご発言もうかがえました。

「いのちを踏みにじることを繰り返してはならない」という視点に立って戦うことの意味を教えていただきました。

いまこそ考えようハンセン病問題

By , 2010年6月19日 11:14 pm

栗生楽泉園自治会長・藤田三四郎さんのお話

熊本地裁で国のハンセン病隔離政策は憲法違反だったという判決が下だり、国は控訴を断念。国の誤りを認めたにが2001年5月11日でした。それから9年という月日が流れ、その間にこの問題の検証や解決に向けたさまざまな取り組みがなされてきました。富山には、ハンセン病の療養所がありませんが、「ハンセン病問題ふるさとネットワーク富山」という市民団体があり、毎年、熊本地裁での歴史的な判決を記念してシンポジウムを開催しています。

今回は群馬県の草津町にある「栗生楽泉園」内の特別病室といわれる監禁施設「重監房」に関するシンポジウムでした。生命倫理を専門とされる新潟大学の宮坂道夫さんが、世界の負の遺産(アウシュビッツを代表とする虐殺の現場や施設)を紹介され、日本における負の歴史として「重監房」がどんな意味を持つのか、問いかけてくださいました。

次に、これまで何度もお会いして、私にハンセン病問題を直接教えてくださった栗生楽泉園の自治会長をされている、藤田三四郎さんが講演されました。これまでのハンセン病問題と現在の問題の所在を語られ、国は誤りを認め、問題解決に向けた法律も施行されたが、まだまだ多くの課題が残されていることなどをお話しになりました。お元気そうでしたが、目がだいぶ悪くなったとおっしゃっていました。知らなかったことを知るということの大切さと継続して耳を傾けるということの大切さを再び学ばせていただきました。

ペシャワール会代表 中村哲さんの講演会共催

By , 2010年5月18日 10:30 pm

今日の午後、土井由三さんが来寺されました。土井さんは、元小杉町長で、現在、富山国際大学の講師をされています。また、来る6月17日に射水市のアイザック小杉文化ホール ラポールで開催予定の「アフガンに命の水を〜ペシャワール会 中村哲 医師26年間の現地報告〜」講演会の主催者代表をされています。善興寺ダーナ基金も共催としてこの講演会をサポートすることになったため、わざわざ足を運んでくださいました。ペシャワール会は、パキスタンやアフガニスタンで医療活動や水源確保事業、農業支援活動など、戦争や貧困のために苦悩に直面している人々を支える活動を長年行ってきたNGOです。中村哲さんは、ハンセン病の専門医として現地で活動をしてこられましたが、支援者が増え、現地職員が約300人、12000人の会員で活動する組織に成長しました。2年前には日本人とアフガニスタン人スタッフがダリバーンに拉致され、日本人メンバーが殺害されるというショッキングな事件を覚えておられる方も多いと思います。最近では、全長25キロメートルにも及ぶ灌漑用水を完成させ、「緑の大地計画」を進めて、アフガニスタンの人々に大きな影響を与えています。国内でもなかなかお会いできない方です。みなさんもぜひ足をお運びいただき、中村哲さんのお話を聞きにいきましょう。