本堂妻壁改修工事が終わりました。
お話が出てから約4年。9月9日に足場がすべて撤去され、本堂の妻壁改修工事が終了しました。工事に携わっていただいた皆様には、こころより感謝申し上げます。
来年2023年、善興寺が浄土真宗に帰依して五百年になる記念事業として、そして仏教が育んだ伝統技術を今、表現するとはどういうことか、をテーマに井波彫刻の南部白雲さんと何度も話し合いの場を持ち、意見交換させていただきました。
アートディレクター、プロデューサーの林口砂里さんからいただいた、「具象ではなく、抽象で表して見る人の想像力に任せる」というアドバイスを受け、大屋根にとまる鳳凰の尾羽を彫っていただきました。浄土を構成している七宝のうちの硨磲(しゃこ)をアワビと黒蝶貝で表し、世界各地の瑪瑙(めのう)を散りばめ、朝日と夕日が当たると様々な光を放つよう設置されています。
また、彫刻の下には鏝絵師の石崎勝紀さん(南砺市福野)の「阿弥陀如来の光明の波紋」と「瓔珞」を表現した曲線が整然と漆喰で表現されています。
組物は、井波社寺建築の宮大工さんたちによる扠首(さす)とよばれる意匠で、法隆寺などの古代建築に使われていた形を取り入れました。彫刻の取り付けも、猛暑の中屋根裏でご苦労いただき、しっかりと壁面に固定していただきました。
そして、二年間、台風や大雨、大雪にも関わらず、しっかりと作業しやすい足場を設置していただいた中井工業様にも感謝申し上げます。
本堂の主人は、阿弥陀如来さま。人間の愚かさと危うさをいつも見つめ、いつも背中しか見せない私たちをどうすれば仏にすることができるのか、と願ってくださっているその願いがこの妻壁から伝わるよう、微力ながらお手伝いさせていただきます。皆様のご参拝をこころよりお待ちしております。
10月30日付の富山新聞に記事が掲載されました。
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