諸行無常ズ消しゴムはんこワークショップ

By , 2013年7月3日 7:56 am
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トレーシングペーパーに尊顔を写す

「お寺で消しゴムはんこ」ワークショップ北陸ツアーが6月30日(日)午前9時30分〜12時、本堂にて開催されました。申し込みされた34人の参加者の顔ぶれをみて驚いたのは、20代〜30代の若い女性が多く、「どうやってこのワークショップを知りましたか?」と聞くと、「インターネットで」とか「情報誌をみて」などがほとんど。寺報の『可問』やチラシではなく、インターネット、マスメディアのはたらき、というものをまざまざと感じさせられました。ですから参加者のほとんどは、善興寺に初めて足を運んだ方々でした。

 さて、ワークショップは、非常に面白く、興味深い内容でした。まずみなさんといっしょに『重誓偈』をおつとめし、若院が挨拶。善興寺の紹介をさせていただきました。それから消しゴムはんこ作家の津久井智子さんと本願寺派の僧侶の麻田弘潤さんが自己紹介をして、ワークショップの趣旨、阿弥陀さまのお顔を彫ることが今回のテーマであることを説明され、手順をひとつひとつ丁寧に教えて下さいました。各テーブルには作業板やトレーシングペーパー、カッターや彫刻刀など、必要な道具はすべてそろえられ、初めてでもできる細やかな準備がされていました。

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諸行無常ズのおふたり

阿弥陀さまの頭部の輪郭の描かれたひな形にそれぞれの阿弥陀さまの顔を描いていきます。それを消しゴム板に転写し、線を残すようにカッターや彫刻刀、シャープペンシルまで使って彫り出すのです。津久井さん一言一言に導かれながら真剣な眼差しでひとりひとりが阿弥陀さまと対峙している姿は尊さすら感じました。

工程の途中途中で席を離れて中心に集まり、津久井さんや麻田さんの技の実演に、参加者はその妙技に食い入るように身を乗り出していました。ゴミ箱に残された削りかすは、美しく、プロは残り物にも芸術性を残すのだなあと感心しました。

2時間30分のワークショップもあっという間に時間が流れ、いよいよ最終段階。津久井さんと麻田さんが事前に準備してくださった阿弥陀さまの光背、体、蓮の台座、背景の雲、極楽に住む鳥など、各部のはんこと、参加者が彫った阿弥陀さまの顔を組みあせて、選んだ色紙に好きな色をつけた消しゴムはんこを押します。

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真剣に阿弥陀さまと向き合う参加者

それぞれの想像する極楽浄土の阿弥陀さまが色紙に現れました。麻田さんは仏教のことばを紹介しながら、みんなひとりひとりの阿弥陀さまちがっていることの素晴らしさを話され、光背が全ての方向に向けられているのは、阿弥陀さまの光の届かない所はなく、すべてのものを仏さまにしたいという願いが阿弥陀さまの姿にあらわれていることを教えて下さいました。

ものを作るという作業を通して仏教のお話を聞くという新しい試みは、これまでなかった仏教の歩みではないでしょうか。仏さまの願いの表現方法は無限にあるのだということの一端を教えていただきました。ありがとうございました。

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津久井さんのプロの技に見入る

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完成した作品群

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