帰真慶讃法要

By , 2014年7月2日 9:08 pm
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プロジェクターの写真をみながら建築と仏教について話される寺本さん

建築家で大阪教区極楽寺若坊守のラングナー寺本ベッティーナさんをお招きして「帰真慶讃法要」を勤修しました。「他力の建築」と題してお話し下さったのは、仏教建築の伽藍の成り立ちから、人々と仏さまとの距離や関係性について興味深いお話しをいただきました。

飛鳥時代の寺院は仏さまが中心ではなく、塔がお寺の中心であったこと。東大寺の初期は現在のように境内地が広くなく、人々は塀のなかに入ることさえできなかったこと。平等院鳳凰堂に象徴されるように浄土をこの娑婆に具現化するために建築が発展して、苦悩多い娑婆とは一線を画する場所としての空間だったこと。それが今、浄土真宗の寺院は、阿弥陀如来のもっとも近いところで仏法を聞くことのできる空間にまで進化したこと、などをお聞きして、当たり前のように本堂に座って聴聞できるようになったのも阿弥陀さまの方から私たちの方へ近づいてきてくださる、という親鸞聖人の教えを建築として表されたものだと新鮮に感じることができました。

建築の世界では教えにかなった他力の建築になっているのに、人々が本堂に足を運ばないのはなぜか、それが今を生きる私たちに問われた課題だと思いました。

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法要後の歓談

それと、現在の建築はあまりにもスピードの流れが早く、本当に人間にとって必要な建物が少ないということをお話しいただき、寺本さんが関わった建物で完成までに10年かかった例を紹介してくださり、時間がかかった分だけ現在でも施主さんとの深い交流があり、生きた建物として使われている、とおっしゃいました。

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