われもと因地にありしとき
御正忌も当日を迎え、本堂内にスクリーンを設置し、20メートルのLANケーブルを寺務室から延長してプロジェクターで投影し、午前10時からのご本山の「日中法要」に皆さんとお参りしました。
本願寺三代の覚如上人が親鸞聖人の三十三回忌のために著された「報恩講式」と覚如上人のご子息の存覚上人が作られた「嘆徳文」をご門主が拝読され、親鸞聖人の遺徳を讃嘆される「報恩講作法」というお勤めでした。善興寺の報恩講でも報恩講式の現代語訳を拝読していますのでご存知の方もおられますが、1、浄土真宗を開かれたお徳2、ご本願のみ教えに出遭われ、伝えられたお徳3、ご往生の後もその教えが私たちのを導き続けているお徳を讃える内容です。
約1時間半にわたりお勤まりになり、ご本山でお参りさせていただいている雰囲気でした。初めて知ったことですが、この法要が終わった直後にご門主がご真影(親鸞聖人のお木像)にお供えしてある仏飯を下げられたのです。いつも法要前にお供えされるのは知っていたのですが、御正忌の最後に下げられることで報恩講の締めくくりという意味を感じました。ちなみに本願寺のお仏飯は毎日、6升3合が炊かれ、43個の仏飯器に盛られるそうです。一番大きいものは御影堂のご真影のもので、約1升なのだそうです。詳しくは本願寺ウェブテレビでご覧下さい。
法要終了後、和讃を味いました。偶然にも毎月16日に行っている正信偈和讃の会で読み進めて来ました「浄土和讃」の最後のご和讃です。阿弥陀如来の脇士、勢至菩薩を讃えるものです。
われもと因地にありしとき
念仏の心をもちてこそ
無生忍にはいりしかば
いまこの娑婆界にして
念仏のひとを摂取して
浄土に帰せしむるなり
大勢至菩薩の
大恩ふかく報ずべし
勢至菩薩は先達の超日月光仏から念仏三昧の教えを授けられました。その行に励む中で不退転の境地にいたったのです。よって今、この迷い多き娑婆界にやって来て念仏の人々をもらさず阿弥陀仏の浄土に導くのです。大勢至菩薩の大いなる恩に報じましょう。
勢至菩薩は、観音菩薩よりも知名度がありませんが、阿弥陀仏の智慧のはたらきを具体的に私たちに示して下さるお方です。親鸞聖人にとってその方は、法然聖人でした。法然聖人を大勢至菩薩の化身として慕われたおこころをこの和讃に読んでいらっしゃるのです。
お斎は小豆粥とお酢和えをお漬け物と一緒にいただき、心も体も温まりました。