7月の二十八日講
猛暑の中、二十八日講が開かれました。福島からのホームステイファミリーは、みんな朝夕に読経をするのが楽しいようで、とくに「願以此功徳…」の回向句が大好きです。ですから今回は回向句についてお話ししました。「願わくは此の功徳を以て 平等に一切に施し 同じ菩提心を発させ 安楽国に往生せん」阿弥陀如来より回向されている身であることをお経の最後にお唱えすることで、他力の信心を差し向けられていることを味わうのです。
それから科学がなぜ東洋で発達しなかったのか、西洋の自然界と人間を分けて考える宗教観がその基礎に大きな影響を与えたこと。そして反原発の偉大な研究者であり、運動家でもあった高木仁三郎さんの視点を紹介し、原子力の人間の手に負えない本質と危険性を今回の事故が起きてしまってもなお、動かそうとする愚かさを考えなければならないとお話ししました。
福島のお母さんは、富山に来て放射能のことを常に考えなければならない現実から解放されて涙を流しておられました。知り合いのお子さんたちに甲状腺の異常が見つかった話や、どのように食品に気を使っているかなど、この一年で経験したことを話して下さいました。最後に福島弁の民話を聞かせていただいて、お堂の中がひとつになったようでした。