二十八日講2015
今年度の二十八日講が始まりました。親鸞聖人の降誕をお祝いする5月は今年で842年を迎えました。「妖怪ブームと仏法」と題し、若院がお話をさせていただきました。昨年から大ブームの「妖怪ウォッチ」についてご紹介して、最近、保育園の園児たちのために描いているキャラクターの絵を披露して、妖怪の世界の奥深さを説明しました。
なかには中国伝来の古い妖怪もいて、古典妖怪として再解釈されながら新しいデザインの妖怪として生まれ変わったことをご紹介しました。妖怪は、現実に起きている苦悩や問題を代弁してくれる存在として、いま子供たちの世界に大きな影響を及ぼしていること、こどもの力では受け止めきれない現実を彼らがクッションになってユーモアを交えて受け止められるようその世界観ははたらいているのではないか、と思います。
阿弥陀如来は、法蔵菩薩というお姿を通して私たちになぜ南無阿弥陀仏になられたのか、どのように私たちを救おうとされているか、という因縁を示しておられます。この物語を通して私たちは現実の生活の苦悩や根本苦をこえさせようとはたらいて下さっています。妖怪ウォッチとの共通点は、「物語」にあると思います。苦悩や問題を一旦、妖怪の世界に入ることによって、解決方法をともに考える。そういう内容をゲームやアニメから感じることができます。
これまでは、実在するかどうかの議論で軽視されてきた物語の世界ですが、現実の苦悩は苦悩としてすでにある、ということから始まっています。その受け止め方を妖怪たちは担っているのかもしれません。